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2026/03/16 17:44

「縫製」という仕事は、あまり表に出る仕事ではありません。

服も、バッグも、ブランド名やデザイナーの名前は知られていても、
実際にそれを形にしている“縫製職人”の存在が語られることはほとんどありません。

でも、私は知っています。
その仕事がどれだけ難しく、どれだけ誇れる仕事なのかを。


家業の縫製工場から始まったものづくり

私の人生は、縫製とはまったく違うところから始まりました。

警察官を志し、京都府警に入庁。
ですが、自分の思い描いていた道とは違うと感じ、退職しました。

その後、結婚をきっかけに滋賀県高島市にある家業の縫製工場に入りました。
未経験からのスタートでした。

最初は、何もわからない。
糸のことも、布のことも、ミシンのことも。

でも、職人たちの手元を見ているうちに、
「縫製」という奥深さに気づいていきました。

一針一針に意味があり、
ほんの数ミリの違いで仕上がりが変わる。

そして何より、
日本の縫製技術は本当にすごい。

この仕事には、もっと誇りを持っていい。
そう思うようになりました。

職人の仕事を、もっと社会に伝えたい

しかし現実は厳しいものでした。

縫製工場は、
「下請け」「裏方」として扱われることが多い。

どれだけ高い技術があっても、
価格競争の中で価値が正しく評価されないこともあります。

それがとても悔しかった。

職人の仕事は、もっと評価されるべきだ。

そう思い、自分たちの手でブランドを立ち上げることを決めました。

それが
「ヌノニシタイ」です。


三つ編みに込めた意味

ヌノニシタイの象徴は、
三つ編みの持ち手のバッグです。

この三つ編みには意味があります。

一本の糸は弱い。
でも、三本が重なり編み込まれることで、
強く、美しくなる。

それはまるで、

  • 人と人

  • 自然と文化

  • 作り手と使い手

さまざまな“つながり”のようだと思いました。

この三つ編みの構造は、
意匠登録も取得しています。

ただのデザインではなく、
ブランドの思想そのものだからです。



そして、独立へ

家業の中でブランドを育てていく中で、
さまざまな出来事がありました。

葛藤もあり、衝突もありました。

そして2025年、
私は工場を離れることになりました。

正直に言うと、
そのときはすべてを失ったような気持ちでした。

そんなある日、
一通の手紙が届きました。

それは、ヌノニシタイのバッグを購入してくださった
お客様からのものでした。

「このバッグに出会えてよかった」
「大切に使っています」

そんな言葉が綴られていました。

自分たちが作ったものが、
誰かの心を動かしている。

その事実に、胸がいっぱいになりました。

そのとき、強く思いました。

このものづくりを、なんとか続けていきたい。

そして、
このバッグを好きだと言ってくださる方の声に、
これからも応えていきたい。

その想い一心で、
私は独立を決めました。



ヌノニシタイが目指す未来

ヌノニシタイは、ただバッグを作るブランドではありません。


私たちが目指しているのは、

縫製職人の価値がきちんと認められる社会です。


作る人が誇りを持ち、使う人がそれを感じられるものづくり。

そのために、日本の縫製技術、地域の素材、職人の手仕事を大切にしながら、

一つ一つのバッグを作っています。


最後に。

一本では弱い糸も、三つ編みになると強く、美しくなる。

人も、ものづくりも、きっと同じです。

たくさんの人の想いが重なって、ヌノニシタイは生まれています。

このバッグが、誰かの日常に寄り添う存在になれば嬉しいです。

そして、このバッグを通して、日本のものづくりの価値が

少しでも伝わっていくことを願っています。


一本では弱い糸も、三つ編みになると強く、美しくなる。

ヌノニシタイは、そんなつながりから生まれたブランドです。